Transfer Centerまるわかりガイド~「国内サーバ」

サーバのロケーション

クラウドサービスを選定する際、「機能」「価格」「セキュリティ」などは、検討項目として重要視されますが、あまり検討されていない項目として、サーバのロケーションがあります。

グローバル化やICTの発展により、クラウドサーバやデータセンターなどのサーバのロケーションは国内、海外の垣根がなくなり、もしかするとユーザ自身も、現在利用しているクラウドサービスのサーバがどこにあるのか分からないかもしれません。

しかしながら、クラウドサービスを利用する場合、個人情報やファイルなどを保管する先であるサーバロケーションは、特に法的な面から考えると重要な検討項目です。

今回は、なぜサーバやデータセンターのロケーションを知っておくべきなのか、国内と海外で比較して、なぜ国内データセンターを選ぶべきかについて説明していきます。

国内と海外の比較

サーバやデータセンターのロケーションを国内と海外それぞれのメリットデメリットを比較していきましょう。

アクセス速度の比較(国内 vs 海外)

データセンターの物理的な距離は、アクセス速度に大きく影響します。実際の距離による転送時間も関係していますが、それ以上に、通信プロトコルで行う処理が主な要因の一つです。

現在主流の通信プロトコルでは、パケット紛失などの誤り検出・訂正を行うなど、一回の通信に対してプロトコルで行う処理が多くあります。そのため、国内から海外のデータセンターを使う場合、それらの処理を行うために国内と海外を頻繁に往復する必要があり、それが原因でアクセス速度の低下を招くことになります。

なぜなら、距離が長くなると、その分より多くのルーターやネットワークインフラを通過することになり、そこを何度も往復するやり取りは大きな時間のロスになるからです。

そのため、同じデータを送信・受信する場合、海外よりも国内データセンターの方がより高速となります。

コストの比較(国内 vs 海外)

国内と海外のデータセンターを比較する際、コストはまず初めに考える重要項目です。データセンターを運用するには、設置・運用コストとして、土地代、人件費、電気代、税金などがあります。

海外のデータセンターは、土地代、人件費、電気代、税金など、ほとんどの管理コストが日本と比べて格段に安いので、海外データセンターに軍配が上がります

特に管理コストの大部分を占める電気代については、現在電力構成の7割以上を占めている火力発電だけに限らず、将来再生可能エネルギーが普及しても、日本は海外と比べると火力発電や再生可能エネルギー発電のコストが高いため、データセンターの費用が高額になる主な原因の一つとなっています。

また、自然災害の多い日本では、災害に備えるためのインフラ整備も行う必要があり、価格は高くならざるを得ません。

例:日本の電気代は米国の2倍
出典:2021年の自然エネルギー電力の割合『特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所』
https://www.isep.or.jp/archives/library/13774

電力安定供給の比較(国内 vs 海外)

平均停電継続時間指標と平均停電回数指標の国際比較によると、日本は世界2位の安定した電力供給力があります。

出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)安定したインフラ
https://www.jetro.go.jp/invest/investment_environment/whyjapan/ch4.html

しかしながら、データセンターは、一般的に、国や地域にかかわらず非常に安定した電力インフラを備えていることが普通です。データセンターは信頼性(RASIS*)維持が生命線であり、電力インフラは、データセンターの生命線でもある高可用性として必須であるため、主要なデータセンターは、海外、国内にかかわらず運営する際に何重にもバックアップ対策が取られています。

日本の電力供給力は、海外と比較して安定していますが、それがそのまま安定したデータセンターの運用につながるとは必ずしも言えません。選定するデータセンターの電力インフラを含む高可用性対策を確認する必要があります。

* RASIS:Reliability(信頼性)、Availability(可用性)、Serviceability(保守性)、Integrity(保全性)、Security(安全性)

安全性の比較(国内 vs 海外)

世界の都市安全性指数ランキングで、東京がサイバーセキュリティにおいて世界一安全(総合でも一位)と評価されているように、日本はサイバーセキュリティ対策に関して、海外と比べて安全性が高いと言えます。

出典:Safe Cities Index 2019(世界の都市安全性指数ランキング)『ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(The Economist Intelligence Unit=EIU)』

https://safecities.economist.com/safe-cities-index-2019-jp/

しかしながら、上述したように、データセンターは、システムの信頼性(RASIS)確保が生命線です。特に顧客のデータを安全に管理する場所であり、データセンターの生命線でもある「安全性」を確保することが必須なため、主要なデータセンターは、国内、海外にかかわらず、物理的(設備の安全対策)ソフトウェア的(不正アクセス対策)な安全性確保が最大限取られているのが一般的です。

日本は、海外と比較して安全性が高いと評価されていますが、それがそのままデータセンターの安全性につながるとは必ずしも言えません。海外であろうと国内であろうと、選定するデータセンターの設備や不正アクセス対策などの「安全性」を確認する必要があります。

日本語での問い合わせ・サポート(国内 vs 海外)

通常、海外のデータセンターでは日本語に対応していないため、質問やトラブル対応などのコミュニケーションは、英語など、日本語以外の言語で行う必要があります。

また、海外のデータセンターによってはサポート時間が限られているため、時差を考慮する必要があり、緊急時の対応に支障が出る可能性もあります。その点、国内であれば、言語や時差の問題を気にせずに、問い合わせやサポートが行えるのでメリットは大きいと言えます。

法的リスク(国内 vs 海外)

総務省「データセンター利用に関する国内外の動向に係る調査研究」によると、下記のようにアメリカ、イギリス、中国にて国際的なデータセンター設置における法的リスクがあることが認識されています。

出典:データセンター利用に関する国内外の動向に係る調査研究『総務省』
https://www.soumu.go.jp/main_content/000067990.pdf

アメリカ
  • 米国愛国者法(米国愛国者法そのものは2015年に失効。現在は米国自由法)
  • 概要 米国内に存在するデータに対し FBI/政府当局は調査権限を有する
    法的リスク 機密データといえども、突如 規制当局による閲覧差し押さえの対象となりうる
    イギリス
  • 捜査権限規制法
  • 概要 英国内に存在するデータに対し、政府当局は調査権限を有する
    法的リスク 機密データといえども、突如 規制当局による閲覧差し押さえの対象となりうる
    中国
  • データ規制捜査権限法
  • 概要 中国政府は国内に流入する情報をコントロール可能。
    国家の安全を脅かす/名誉を汚す情報 等の規制と検閲を行っている。
    法的リスク 中国政府は直接的な盗聴やモニタリング、企業への情報提出依頼ができるため、
    機密データの閲覧・差し押さえ・規制の対象となりうる

    例えば、2009年に下記のような事例がありました。

    出典:FBI Agents Raid Dallas Computer Business 『CBS 11 News』2009年

    CBS 11 Newsの報道によると、4月2日の午前6時、米国テキサス州のデータセンター企業Core IP Networks LLCはFBIに予告なしに急襲され、全データセンターのシャットダウンを命令されました。その後、機材すべてが令状によって押収。社長宅にも同時に15台のパトカーとSWATチームが急襲したとのことです。

    これによって、同社の顧客約50社が電子メールやデータベースへのアクセスを失い、また通信企業も顧客だったため緊急通報電話911が一部つながらなくなるという被害が発生。

    クラウドサービスを利用する場合、個人情報やファイルなどを保管する先である、サーバロケーションは、特に法的な面から考えると国内を選ぶべきでしょう。

    サーバロケーションは国内が原則

    「政府情報システムにおけるクラウド設置場所等に関する考え方2020年 6月」によると、政府情報システムにおけるクラウ ドの利用は、一定条件を満たすことで海外も可としながらも、国内データセンタと我が国に裁判管轄権があるクラウドサービス を原則としています。

    出典:政府情報システムにおけるクラウド設置場所等に関する考え方 『内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室 政府CIOポータル』
    https://cio.go.jp/dp2020_04

    取引先とのやり取りにファイル送信サービスなどのサービスを使う場合、セキュリティや法的リスクを考えると、サーバロケーションが国内のサービスを利用することをお勧めします。

    Transfer Centerのサーバロケーションは、日本国内です。ファイル送信の安全・安心のサービスとして、信頼性の高いTransfer Centerをぜひ活用してみてください。

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